「いっぽんばしこーちょこちょ♪」のような手遊び唄や童謡が載っているのかと思いきや、昔ながらだけど合理的な育児の知恵がぎっしり詰まった本でした。
0才1ヶ月~3歳くらいの子どもを持つ方
特に「赤ちゃんと2人きりでどう過ごしたらいいのかわからない」と感じる方にお勧めの本です。
『「わらべうた」で子育て 入門編』
著者:阿部ヤヱ
- 作者: 阿部ヤヱ,福音館書店母の友編集部,平野恵理子
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 2002/10/25
- メディア: 単行本
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理屈っぽい脳科学系の本も好きなのですが、こういう伝承にもとても興味があります。
伝承されてきたものは、これまで人々が色々試した結果だと思うから。
もちろん科学的に昔の育児法にデメリットが大きい分かったこともある。
(親が噛んで柔らかくした食べ物を与える→消化を助けるがミュータンス菌が感染るとか、1歳未満の子にハチミツを与える→栄養があるが乳児ボツリヌス症にかかる事がある、とか・・・)
そういう事を除いても、変わらない子育ての本質のような事はあるはず…。
★
1934年生まれとの事なので、2019年現在は85歳のおばあちゃんですね。
もくじ
1 はじめての会話
2 真似から始まり、気持ちを表す
3 おむつを替えるときの声かけ
4 声を出す
こぼれ話(1)泣き声を聞き分ける
5 「かっこう えだぁ」
こぼれ話(2)あいさつと礼儀
6 はげますこと、ほめること
7 「たかい たかい たかい」
8 叱ってとめる
9 失敗は、はやしてとめる
10 意地を持たせる「はやし唄」
11 顔あそび
12 返事あそび
13 赤ちゃんのときの「呼びかけの唄」
14 「子守唄」
こぼれ話(3)赤ちゃんからこどもへ
わたしの子どものころ
本書では「わらべうた」を
- 手足を使って、リズムを体で感じる「あそび唄」
- しつけや礼儀、へこたれない生き方の知恵を伝える「はやし唄」
- 子供の五感を目覚めさせて心を育てる「呼びかけの唄」
と三種類に分類しています。
どれも、いわゆる「歌」というよりは、リズミカルに節をつけた「語りかけ」という感じ。
★
以下印象的な事抜粋
顔遊びでも子供の顔をいじらない
「顔遊び」と言っても、子どもの顔にはさわりません。顔は大事なところだから、むやみにさわってはいけないのです。(中略)
大人が自分の顔をさわって、一つ一つ動作をしてうたってみせてやるものです。
「わらべうたで子育て 入門編」P82
これを読んでハッとしました。
私、甥っ子が「あ~~~~~~」って泣いている時に面白がって口に手をあてて「あわわわわわ」ってやっていたんです。
ある程度大きくなってきてからもこれやると怒り出すんですよね。(それでもからかい半分でやってた・・・)
親が子供の顔をいじっていたら、他人の顔をいじるようになっちゃうかもしれないですね。
おそらく、昔は衛生面が悪かったから目や鼻にばい菌が入ったりしないように「だいじなところ」と教えて守っていたのだと思います。
自分がされたら嫌なこと、他人様にやったらいけないことは、子供にもやっちゃあいけませんね。
基本的な事だけど、気をつけようと思いました。
子守唄
付属のCDにヤヱさんの唄声が収録されているのですが、なんとも穏やかで優しいメロディ。
「よいだらさのやぇ(いいじゃないか)
やんさ やめでもよぉ(どんなに忙しくても、何をさておいても)
泣く子ば だましゃやぇ(泣く子はあやしてやれよ)
万の宝よりもなぁ(万の宝よりも)
子は宝だよなぁ」
子守唄には赤ちゃんを眠りに誘うことと、子守をする大人がなかなか眠らない子にイライラする気持ちを静めて落ち着かせてくれる、という役割があるそうです。
これを読んで、昔の人だって寝かしつけにはイライラしてたのね、と少しホッとしました。
私、子供の寝かしつけの時に
最初の頃→無心で時計を見ながらゆらゆら・・・
(あと5分がんばろう・・・の繰り返し)
それが辛くなってきてから→数を頭の中で繰り返し数える
(ゆらゆら×50回を何セットで眠るか数える)
な~んてことをしていたのですが
この本を読んでから心をこめて子守歌を歌うようにしました。
(ねんねん ころり~ってやつ)
焦ったりイライラするとつい唄のテンポが速くなっちゃうので、意識してゆったりと。
すると、唄う方に集中するのでずっとゆらゆらしていてもそこまで苦痛ではなくなりました。
声を出して唄うのはちょっとしたストレス解消にもなるし。
ただ、本書では抱っこして揺らすと大変だから揺らさないでトントンすべしとありました。(^^;)
うちの子はもうゆらゆらで眠る習慣がついてしまってるかも…
叱り方
赤ちゃんにはまだ、何がしてはいけないことなのかわからないのだから、理屈をあれこれ言ったり、怒ってたたいたりしてはいけません。
ただ子供を怖がらせるだけで意味がないことです。
(中略)
子どもをたたいたり、怖がらせて言う事を聞かせるのではなく(中略)子どもの気持ちが、もうやるまいと動くことが大事なのです。
こうしたことは、赤ちゃんのときから目を合わせて遊ぶなかで育ってきた、信頼感があってはじめてできることです。
「わらべうたで子育て 入門編」P62~P66
最近の教育・スポーツの場での体罰問題。
その話題の中でで少なからず
「多少の体罰は必要」
「今の子どもはは昔と違って叩かれないから云々」
「愛情があれば叩かれても伝わる」
のような意見が出てくるので、昔の子育ては体罰ありきかなのかと思っていたのですが、本書の中では体罰はきっぱりと否定されています。
- 赤ちゃんの頃からしてはいけない事を根気よく態度で教える
- わざとやったのではない失敗は、叱らずに結果をみせて「これは困ったことだ」と伝える
- 二歳ころ(いわゆるイヤイヤ期?)の駄々ごねはきっぱりと叱ってネチネチ言わない。
- 叱ったあと放っておかず、別の大人がはやして気持ちを起こす
今はお母さんが叱り役もなだめ役もやらないといけない事が多いけれど、他の人が介入すれば母も子も自然と気持ちが収まりそう。
子育ては一人ではできない、っていうのはこういう事なんだろうなあ。
★
本にはCDが付属していて、本の元となるヤヱさんの語りを聴くことができます。
文字だけでは伝わらない、ヤヱさんのやさしい声と独特の「節回し」これが聴いていてとっても心地よいです。
また、先日92歳の祖母の家にムスメを連れて行ったのですが
ムスメをあやしている時の声の出し方や節回しがヤヱさんとそっくりで驚きました。
「えんこえんこえんこ♪ ほれ、えんこえんこえんこ♪」と唄いながら膝の上でゆらゆらさせるとムスメはにっこり。
もっと祖母に子育ての事を教えてもらわなくちゃ。